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とっても小さく生まれ、重症心身障害を持つ次女・ふたばと過ごす日々を綴ります。

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『発達に遅れのある子の親になる』

すっかりご無沙汰な(笑)この『本棚』カテゴリー。

今回は、ずいぶん前に読んだものの中で、最近再読したこの本を紹介します。

『発達に遅れのある子の親になる』
海津 敦子 著
日本評論社

発達に遅れのある子の親になる


タイトルからして、発達障害を持つ親向けの本なのですが
これを読んだのはふたばが生まれて数ヶ月の頃でした。
まだどんな障害があるかもわからず
そもそも「障害児」という認識もあまりないまま
毎日NICUに面会に行っていた頃に読んだ本。
今となっては、このタイトルを見て読もうとは思わなかったかもしれません。
その頃に出逢えて良かったな~と思います。


この本の特徴は、インタビューで聞いた親の声、専門家の声がとても多いということです。
それらを1つ1つ、著者の海津さんが、美しい言葉でまとめておられます。


第一章は、わが子の発達の遅れに気づいたり、専門家に指摘されたりしたとき、
どんな親でもはじめは受け入れ難く、苦しむものだ、というところから始まります。
(この苦しみはきっと、身体的な障害や知的な障害の場合も同じようなものではないかと思います)
その受け入れにくさや苦しみは、一体どうして生まれるのか。

インタビューされた中の1人、愛育養護学校の岩崎さんが
その理由をうまく語っておられます。

「人間って、自分がもっている価値観や、理想からはずれちゃうとすぐ駄目に思ってしまう。
でもこれも、教育によってなされるものが大きいんじゃないかしら。
特に日本の場合は、勉強ができる人がやっぱりいいみたいな教育がされてきたから
遅れがあると聞くと、もう駄目とか困ったとか思ってしまう」

そして発達の遅れがある子に対して抱く不幸感を
「人間の弱さや、愚かさの表れでもある」とも述べています。



また、3歳のときに脳症を発症し重度脳障害が残った長男を持つ東海林さんは

「障害児の親になるということは、わが子に向けられる偏見や差別を
自分の中にはないのか自問自答していくことでもあります」

といっています。
そんな東海林さん、障害児の親同士の会話を通して
子どもに対するさまざまな思いが、自分ひとりではなかったことに心底ほっとしたり、
話すことで、自分の中の無意識な部分を知って気づくことも多くあったそうです。



障害の種類、程度に関わらず、
はじめはこんな風にみんな苦しんだり、自分の中の葛藤に苦しんだりするようです。
もちろん私もその1人で、うんうん、と頷きながら読みました。

著者の海津さんは、

「発達の遅れをもつ子の親は、子どもと向き合うために、
それまで信じてきた価値観を変更せざるをえず、
それと同時に「今」の限界を理解しつつ、
新たな価値観の立て直しをも迫られることになります」

と述べます。

障害を持つ子を育てる中で変化した価値観。
私にも、自覚があります。

ひとみだけを見ていると、
社会で取り残されないように生きていけるために、
あれもこれも、頑張った方がいいんじゃないかと、思うことがあります。
人の迷惑にならないようにしないと、自分でなんでもできるようにしないと、
みんなに遅れずについていけるようにしないと…って。
でもふと、横にいるふたばを見ると、
ま、生きてるだけで丸儲けやなぁ~。のんびりいきまひょ。みたいな
のん気な気持ちにもなるのですよね。
もちろん、障害なんてないに越したことはなく、
「ふたばに障害があって良かった」なんて思ったことは一度もありません。
でも、あったらあったで、楽しいことだっていっぱいあるんですよね。
障害がなかったら、見えなかったもの、知らなかったこと、出逢えなかった人。
たくさんたくさん思いつきます。

それ以外にも、たとえば、
病気や障害を持つ人や子どもがどんな風に頑張って生きているのかを知ろうとしたり
重い障害を持つ人や子どもが、今どう感じているのかを見るようになったことだって
ふたばに出逢うまでは、考えもしなかったことだったから
それも価値観の変化と呼ぶことができるかなぁとも思います。


障害を持つ子の親や専門家とたくさん接してきた海津さんはこう語っています。

「20年、30年と障害児を育ててきた親たちは
とても穏やかな気持ちで『もう怖いものは何もない』と口にすることがあります。
どんな出来事も以前のように落ちこむことがなくなってきたのです。
それは長い間に、強く、したたかになったり、感覚が鈍くなってしまったからではけっしてありません。
発達の遅れをもつ子どもを抱えるという、思い通りにいかない人生に落ちこみ、
迷い、苦しみながらも、チャンスとして生かし、
価値観の転換をはかってきたからです。
どんな状況でも常に希望を見出す術を知った自信から湧き出た言葉といえます」

実際、前述の東海林さんの言葉の中にも

「障害のある子とともに歩む中で、
障害とは何かと問い続けているうちに、
いつのまにか今まで社会が作り出してきたつまらない先入観から抜け出すことができるんです。
そして、世間の目や人の目を気にしない新しい価値観をもって生まれ変わったように、
親として人として大きく成長していることに気がつくのです」

とありました。



ふたばの親になって、まだ3年ちょっと。
苦しむこと、たくさんあります。
でもその経験だってきっと無駄じゃない。
価値観が変わる時には、痛みをともなうこともある。
でもそれを繰り返し、毎日元気に過ごしていれば
この東海林さんのように、変わった自分、生きやすくなった自分に
気づく日が来るかもしれないな。
そうでありたいな。



親の気持ちや価値観の話だけではなく、
療育のこと、周囲とのつきあいのこと、兄弟姉妹の心のこと、
夫婦の役割、子どもの世界の広げ方など、
多岐にわたって、発達に遅れのある子の親が知りたいことが詰まっています。

著者の海津さんも、障害を持つ娘さんがいらっしゃいます。
この本が出版された当初はフリージャーナリストでしたが
現在は文京区の議会議員をされているようです。



大事なことは、子どもをありのままを受け止めること。
それができるようになるまでのプロセスが、丁寧に描かれた1冊です。


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コメント

Secret

『発達に遅れのある子の親になる』

良いね

No title

価値観は産まれる前にはもちろんない物ですが、成長過程で触れ合う者や社会によって植えつけられていくものなんですよね。
親は持っていた価値観から外れることからくる不安にさいなまれて大変ですが、そんな価値観を持たずに 生まれた時から障害児という状態だった子供にとって、価値観と戦う親の姿を見る方が辛いんじゃないかと思いました。
自分がその戦いを強いているんだという悲しみ。
できたら、そこは気づかれたくないとこですね(⌒-⌒; )
兄弟児にはとくにバレバレで、「なんで私にはこうなん?」って思われてるんだろうなぁって思います。
娘は「大ちゃんがちょっと病気だからって、甘やかしすぎなんちゃう?」ってよく言います(^◇^;)はは。バレバレです。
娘に対しても、生きてるだけで丸儲け、だと思えるような価値観の変化はまだありません💦
どうも、私の価値観は部分変化にとどまっているようです。
いつか、無敵の心を手に入れたいです。
みっちさんの本棚。
いつもありがとう、です。(^O^)

愛姫さんへ

愛姫さん、こんにちは☆
コメントありがとうございます。

いい本に出逢えました(^^)

ちまきさんへ

ちまきさん、こんにちは☆
コメントありがとうございます。

本当ですね~、ちまきさんが書いておられたように、
子どもが、価値観と戦っている親の姿を見て苦しむようなことはさせたくないものですね。
長年かけて培ってきた価値観だから、なかなか方向転換ってできるものではないですが…

長女ちゃんは、いつもスカッと言ってくれますね(^^)
痛快です(笑)。

私ももちろん、ひとみに対しておおらかにいられるわけでなはく
しょっちゅう「そんなんじゃ小学生になれないよ!」と言ってしまいます(^^;
親ばかりいろんなことを先回りしてしまいます。

いつか無敵になれたらいいですね。まだまだ、修行中の身です。

いつも、コメントをありがとうございます(^^)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

海津敦子さんへ

海津敦子さん、こんにちは。
まさかご本人からコメントをいただけるとは…!
とても驚きました。

ありがとうございます。

親が人生を楽しむこと。そのために社会資源をできる限り使うこと。
なるほどと思って読みました。
まだ、子どもたちのことで手いっぱいなところがありますが
子どもたちが大きくなるにつれ、自分の生き方、人生を考えることも
必要になってくると思います。
時間の作り方、ぜひぜひ一緒に考えていただきたいほどです。

許可も取らないまま海津さんの本を紹介させていただいておりました。
もし不適切な表現や、掲載にあたっての注意などがあれば
ぜひご指摘ください。

温かいコメント、本当にありがとうございました。

No title

みっちさん 拙著をご紹介いただけたこと 嬉しくて いっぱいの元気をいただきましたよ。

他の記事も心にしみてきますね。
これからも読ませていただくのを楽しみにしています。

海津敦子さんへ

海津敦子さん、こんにちは☆
コメントありがとうございます。

他の記事も読んでいただいたなんて…とっても嬉しいです。

障害のある子を育てていると、日々いろいろなことがあって大変ながらも面白いと感じています。
以前はそいう考えがなかったので、私も少しずつ前に進んできたのかなぁと思います。

『 発達に遅れのある子の親になる 2』も読ませていただきました。
またいつか記事にしたいと思います。