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Author: みっち 
とっても小さく生まれ、重症心身障害を持つ次女・ふたばと過ごす日々を綴ります。

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『命をつなぐ250キロメートル』

今回紹介するのは児童文学です。

『命をつなぐ250キロメートル』
今関 信子 作  おぼ まこと 絵
童心社
命をつなぐ250キロメートル


物語の主人公は、14歳の少女、咲(さき)。
父の死をきっかけに、児童養護施設「南学園」で生活を送るようになります。
   ※児童養護施設:親のいない子どもや、
      親からの虐待などを理由に家庭で生活できなくなった子どもを入所させて養護する施設。
      入所できるのは1歳頃~18歳まで。


咲が、咲と同じ学園で生活している友美(ともみ)と、学園の職員である真(まこと)と3人で、
キャンプの夜、海や星空をながめながら、「湖学園」について話すシーンがあります。
(「湖学園」は、南学園のきょうだい校で、重症心身障害児者施設)




「ぼくなあ、園長先生に尋ねたことあったんや。
六度目に湖学園にいったあとやったわ。
こんなこと、尋ねたらあかんって思ったけど、尋ねずにはおれんかった。
あの子ら、かわいそうや。ほんまにかわいそうや。なおらへんのやろ。
あの子ら、医療器具が息させてくれへんかったら、死んでしまうんやろ。
死んだ方が、みんなのためになるかもしれんのに、
この子ら、ほんまに生きていなあかんのか、って」
咲は、そんなことは口にしてはいけないと思っている。
でも、真が言った今の言葉は、そのまま咲の疑問だった。
友美は、ぴくりとも動かないで空を見ている。
「そのとき、園長先生が言ったんや。
真、よう聞きや。おまえは、湖学園には、目も見えない、耳も聞こえない、
食べることも、息をすることも自分ではできない子がいる。
なんのために生きとるんや。こんな子にお金かけて命守って、
ほんまにええことしとるんかって、思ったんやな。
けど、この考えは恐ろしいねんで。
一番障害の重い子を、殺したとする。そしたら、次に障害の重い子が、目障りになるねんで。
その子も殺したとする。そしたら次の子や。
次つぎにいる命と、いらん命をわけていくんや。そして、自分もいらん命になるんや。
いるとかいらんとか、命の線引きをしてはならんのや。
ぼくは、湖学園の子を大切にするんは、自分を守るためやって思っとる。
ぼくが、いらん人間と言われないために…。力いっぱいやっとる、って。」





児童文学作家である今関さんが、
児童養護施設の施設長に、学園のことを書いて欲しいとお願いされたのが、
この本を書くきっかけでした。
「生きるってなんだ、人間らしいってどういうことだ、と
あの子らといっしょに考えてほしい」と。

今関さんはためらいました。福祉の問題は重くて暗い。私は楽しい作品を書きたい…と。
しかし断り切れず学園に何度も足を運びました。
この本は事実をもとに、子どもたちの姿が描かれています。

この真が言ったセリフも、実際に行われた会話がもとになっているのかもしれません。

 ― この子ら、ほんまに生きていなあかんのか。

胸に突き刺さる思いがしますが、この疑問は誰にでも持ち得るものではないでしょうか。

医療が進み、
出生前診断による命の選別という問題が、ごく身近に存在するようになりました。
一方で、医療の進歩により、
以前は救えなかった命を、救うこともできるようになった分、
重い後遺症を抱えて生きる人が増えていることも事実です。

また、障害を持つ子どもを育てる私たちは、
命のあり方について考える機会が多いものです。


 ― この子ら、ほんまに生きていなあかんのか。

いつか自分の子どもが、こんな疑問をぶつけてくるかもしれません。

なぜ命の線引きをしてはいけないのかを園長が語ったように、
自分は答えられるだろうか?と思います。





重症人身障害児者施設「湖学園」の移転を応援するために、
琵琶湖の周りをみんなで手をつないで囲もうという運動「抱きしめてBIWAKO」を通して
子どもたちの成長が描かれた、
どこか清々しい一冊です。



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