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とっても小さく生まれ、重症心身障害を持つ次女・ふたばと過ごす日々を綴ります。

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『医療的ケア児者の地域生活支援の行方』

昨年の夏から更新していなかったこの本棚カテゴリー(^^;
本を読むことからすっかり遠ざかっていました。

久しぶりに読んだのはこの本です。

『医療的ケア児者の地域生活支援の行方』
NPO法人 医療的ケアネット 編
クリエイツかもがわ

医療的ケア児者の地域生活支援の行方


医療的ケアの必要な人・子どもを取り巻く環境についての歴史・現状・課題を
訪問診療・訪問看護・学校、それぞれの立場からとらえているこの本。

シンポジウムの全記録なのだそうです。


本の冒頭部分には、
編者の一人、李国本 修慈(りくにもと しゅうじ)さん(NPO法人医療的ケアネット理事長)が
全国各地を回って重症心身障害を持つ人々とそのご家族、関係する方々を訪問された時の
お話と写真がたくさん載っています。

訪問される中で李国本さんは、地域格差を感じながらも、
このようなことを感じたと述べています。

「どの地域にかかわらず、活き活きと暮らす方々の周囲には
必ずその子、その子と心地よく関わるヘルパー、看護師、医師等の支援者と呼ばれる方々がいます。
そのことはおそらく、支援の輪(ネットワーク)とつくって支援をするというよりも、
その子・その子たちがそういった方々を引き寄せていると感じました。」
(P24)

活き活きと暮らしている人や家族のところには、
支援する誰かがいる、というのが条件のようだ、と。

また、
「彼女・彼らの存在の価値を明らかにしていくことこそが求められている」
(P24)
とも感じておられます。

これは、地域生活支援を考える際に、
「福祉側から見た課題だけではダメなのではないか」
という意見につながるもので、
本当の課題は、彼女・彼らの存在を明確にしていくことが一番だと主張しています。

「システムや仕組み、専門性も大事ですが、
まず外してはいけないと思うのは、彼女、彼らが生きようとしていることです。
生きようとしているから、鼓動があって、呼吸もしています。
呼吸器というと、機械に生かされているイメージがあるかもしれませんが、
決してそうではなくて、彼らの湧き立つような思いから生きようとしているのではないかと思うのです。
そこに私らがどれくらい寄り添えているのか、これが大事ではないかと思うのです。」
(P135)


私も、医療や福祉、という制度よりも前に、
ふたばを一人の人間として、子どもとして可愛がってくれることが
何よりも嬉しい支援だと感じることがあります。



学校での医療的ケアに関しては、
下川 和洋(しもかわ かずひろ)さん(NPO法人地域ケアさぽーと研究所)が
歴史と現状についてまとめておられます。
そこには、教員による医療的ケアや、看護師の配置について、
これまでの経緯や課題が、
特別支援学校・通常学校のそれぞれに述べられています。
その中で印象的だったのが、京都府の教員からの言葉です。

「医療的ケアそのものは、どこまでやられるかによって、医療であったり介護であったりすると思いますが、
学校でやっている医療的ケアはまさしく教育なのです。」
(P210)

普段関わりのない看護師による医療的ケアは「ケアの切り貼り」であり、
(看護師が)教員と一緒に子どもの体調、基盤のところをきちんと見て、
子どもたちがどういう体をもっているのかをわかってもらうことが
安心、安全な取り組みになると。


私もふたばの就学を2年後に控え、学校での医療的ケアの現状などを聞くことが増えてきました。
保護者の付き添いが必須…とか、
このケアは教員はダメ、看護師でじゃないとできない…などという縛りが
もう少しなくなればいいなと思うのです。
医療的ケアだけを見るのではなく、その子自身と関わる中で必要になるケアに柔軟に対応をしてもらえる、というのが
望ましい支援なのかもしれません。



最後に、医師である前田 浩利(まえだ ひろとし)さん(子ども在宅クリニックあおぞら診療所墨田院長)が
子どもの在宅医療について、成人(高齢の方など)の在宅医療との比較をされていたので、
それを紹介します。

成人の場合は、介護保険と医療保険にまたがる制度の両方をわかっている「ケアマネージャー」がついていて、
往診やショートステイなどを手配してくれるなど、トータルにコーディネートをしてくれるそうです。
ですが子どもの場合、利用している医療・福祉サービスの数についてアンケートをとったところ、
その平均は10(成人の場合は5、6程度)。
30以上利用しているご家庭もあるそうです。

「成人の場合はトータルにつなぐケアマネージャーがいますが、
子どもたちの場合は、登場人物(=支援に関わる人々)はやたらと多いけれども、
それをつなぐ職種がないので、母親たちが決めているのです。」
(P90)

これについては、本当にそうですよね。
支援してくれる人がたくさんいることは本当にありがたいのですが
支援してくれる人同士の連携っていうのはあまり見えてきません。
情報は自分から動かないと入ってこないので、アンテナは常に張っておかないといけない。
親の働きかけ具合で、ふたばに関わる人が増えたり、減ったり、
生活の質もぐっと変わることを実感します。


いろいろな方面から、医療的ケアを必要とする人・子どもの生活支援についての課題を考えさせてくれる一冊でした。



そうそう。
先日、記事でも呼びかけましたが、
NHK「ハートネットTV」で「医療ケア児」についての特集が組まれます。

放送日が決まりました。
明日、4月5日(火)20:00~です。

書き込み掲示板は90件を超え、どれも考えさせるようなものばかりです。
興味のある方はどうぞ読んでみてくださいね。

こちらから↓
http://www2.nhk.or.jp/heart-net/voice/bbs/messagelist.html?topic=3691


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『いっしょがいいな 障がいの絵本』

読書が大好きな、我が家の長女、ひとみ。
図書館に行っては、一度に10冊以上の本を借りてきて読んでいます。

私が子どもの頃も読んでいたような、定番のシリーズも大好きで
『はれときどきぶた』(矢玉四郎さんの本)
『ぼくは王さま』『わかったさんのクッキー』(どちらも、寺村輝夫さんの本)
などのシリーズを読みあさっています。
 (余談ですが、矢玉四郎さんにひとみがファンレターを書いたら
 ご丁寧にお返事をくれたんです!それでますますファンに…(笑))


先日、ひとみは夫と2人で図書館に行き、
重たそうなバッグを抱えて帰ってきました。

今回借りてきたシリーズは
『いっしょがいいな 障がいの絵本』(ポプラ社)でした。

障がいの絵本

全6冊で、それぞれ
目の見えないひと・耳のきこえないひと・からだの不自由なひと・
ダウン症・自閉症・ADHD をテーマにしています。

どれも、公立の小学校に通う子どもたちが主人公の
写真の多い絵本です。

巻末には、それぞれの障害について、
子ども向けに解説が書かれています。

ひとみの学校の学級文庫に、このシリーズが置いてあり、
「耳の聞こえないひと」を、先生が読み聞かせしてくれたのだそう。

学級文庫は貸し出しをしていないので
ゆっくり読みたいと思って、シリーズを全部、借りてきたのだそうです。

ひとみの学校には支援学級があり、放課後事業でその子たちと関わることも多いようです。
そういうこともあり、興味を持ったのかな。

中身を読んでいると、
不便なことはあっても、つらくはないんだよ、と
教えてくれる本でした。

公立小学校に通う子どもたちが主人公ということで、、
お話もできるし、食事もできる子たちばかりです。
ふたばとは状態が違う子たちだけど、
いろ~んな子がいて、それが自然なことなんだと、
日々の生活の中でからも、今回の本からも、ひとみは感じているように思います。




おまけの話。

ひとみの通学路にある薬局の前には
昔からおなじみの、サトちゃん&サトコちゃんが立っています。
サトちゃん

先日朝早くに薬局の前を通った時
向かいにある倉庫から、サトちゃんが、台車載せられ運ばれていました。
それを見て私とひとみは「えーっ!」とビックリ。
私は、
「サトちゃん、夜の間は違う場所に置いてるのか~!」
というビックリだったのですが
ひとみは違うビックリだったよう。

「サトちゃん、自分で歩けると思ってた!!」

…えっ(^^;

「7歳までは夢の中」とか「7歳までは神のうち」とか
教育法によってはよく耳にしますが
ホントにそうなのかも~と思った出来事でした。



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「ヒトは見ようと思うようにしか見えない」(『医療的ケア』)

久しぶりの本棚カテゴリー更新です。
本を貸りても、なかなか読む時間が作れず…(^^;


『医療的ケア』
大阪養護教育と医療研究会 著
クリエイツかもがわ

医療的ケア


今回紹介するのは、
大阪の学校現場における「医療的ケア」(吸引・経管栄養・導尿の補助)についての実際と、
教育についての本です。

大阪での肢体不自由教育のあゆみから、医療的ケアに関する振り返り、
また重度障害をもつ子どもたちへの、いろいろな立場からの関わりがまとめられています。

本を読んで印象的だった部分を紹介していきたいと思います。

  ※この本が出版されたのは、2006年なので
    今で言う「特別支援学校」は、当時の呼び方「養護学校」と表記されています。
    (「養護学校」が「特別支援学校」という名称に変わったのは2007年)
    ここでも、本の表記そのままに「養護学校」と書きます。




現在、大阪市では(どこの自治体でもそうなのかな?)学校の教員が医療的ケアを行っています。

大阪市立平野養護学校の牧先生は、訪問教育と医療的ケアの関わりについて
具体的に、生徒を訪問するようすや、学校行事等のお話を交えて執筆されています。

牧先生は、医療的ケアを必要とする子どもたちのお母さんのためにも
子どもと教師が一対一で接する時間が大切だ、と述べます。

『(お母さんたちは)いつも子どものそばにいて、
体調を整え、注入や吸引など付きっきりで生活しています。
そんな姿を見ていると、子どもが通学できるようになり、家族から離れて過ごすことができるようになることは
子どもの大きな成長』

『子どもと教師が一対一で接する時間をもつことは、訪問教育において自立に向けた指導の一つだと思います』

宿泊訓練などの行事においては、お母さんも付き添うのですが、
できるだけ先生に任せて友だちと過ごす時間を作るようにし
部屋も別にして過ごすことで、自信につながる、と述べています。


また、交野養護学校の校医による講演の中で
学校スタッフによる医療的ケアが行われることには、さまざまな意義があるというお話があったとのことでした。
それは、子どもの自立心や精神的な成長、さまざまな活動への参加という「教育的意義」。
学校でも医療的ケアを実践されることで健康・生命が維持できる「医療的意義」。

私がとても心に残ったのは「福祉的意義」で、
それまで母親が24時間、医療的ケアを強いられていたことへの負担を軽くできること、
それから障害児のきょうだいのケアができること、という内容です。

『見落とされがちなのですが、障害児の兄弟が今まで我慢をしてきたという事実があります。
親が障害児に時間的にも精神的にもかかりっきりになることによって、
親の気持ちが他の兄弟に向かず、心理的に追い詰められるということがありました。
そういう意味で母親に時間ができると家族のQOLが守られる。
こういうこともとても大きなメリットです。』


最後に、第一びわこ学園の理学療法士、高塩さんの書かれているこの言葉がとても印象的でした。

「ヒトは見ようと思うようにしか見えない」

理学療法士である高塩さんは、呼吸リハビリテーションについて述べられているのですが
冒頭にこんなことを書いておられます。

『呼吸リハビリテーションに関する多くの出版物では、
呼吸障害の発生メカニズムや具体的な呼吸介助方法など
知識や技術面に焦点があてられ、
呼吸機能障害により困っている子どもや家族の姿が思い浮かばないことが多々あります。
それは、援助している対象が「肺」や「胸郭」であって
呼吸障害に障害をもって生活している子どもや家族ではないからです』

高塩さんは、呼吸リハビリテーションを始める前に、
子どもたちの気持ちになって援助することが大切だと書かれています。
子どもを一人の「人間」として理解するように努めることが大切だと。

(とても印象的な言葉なので、記事のタイトルにしてみました。いつもは、本の題名をタイトルにしていますが…)

こういうスタンスで子どもに関わってくれる人って、こちらにも伝わってきますよね。
子どもも、どういう関わりをしてもらえるかということに、とても敏感な気がします。

温かい関わりをしてくれる人がいるからこそ、親は子どものためにと頑張れるし、
この人になら任せられると信じることができてこそ、親は自分の時間が持てるのだと思います。

この本の中には、普段大変お世話になっている方や、過去に出逢った大先輩が執筆された章もあり、
とても読みごたえのある一冊でした。



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『 医療従事者と家族のための小児在宅医療支援マニュアル 』

今回は専門的な一冊を紹介します。


『 医療従事者と家族のための
小児在宅医療支援マニュアル 』
船戸 正久 
高田 哲  編著
メディカ出版

医療従事者と家族のための小児在宅医療支援ケアマニュアル


ふたばが気管切開を勧められていたとき(生後半年頃)、
小児の気管切開の手術で有名な耳鼻科医にお話を聞きに行ったのですが
その病院の図書コーナーで偶然出逢ったのがこの本です。



第1章は、小児の在宅医療の現況として
小児の在宅医療が増加している理由や、
医療的ケアにまつわる問題、
在宅医療の意義について等、幅広く述べられています。

医療技術の進歩や、医療機器の小型化により
重い障害を抱えている子も家で家族と一緒に過ごせるケースが増えてきています。
家族とともに暮らすことは子どもの発達に影響を与え
また子ども自身の「役割」が生まれるようにもなります。

その反面、医療ケアが家族の過剰な負担になってしまいがちなことや、
学校における医療的ケアの程度には地域差が大きいこと等の問題点も指摘されています。


第2章では
医療的ケアの具体的な方法について、多くのページを割いて解説されています。

・在宅経管栄養法
・在宅自己導尿法
・在宅自己注射法
・在宅自己腹膜灌流(かんりゅう)法
・在宅中心静脈栄養法
・侵襲的酸素療法
・侵襲的在宅人工呼吸療法
・非侵襲的在宅人工呼吸療法
・在宅悪性腫瘍鎮痛および化学療法

その他、解熱薬や抗痙攣薬、吸入についての記述もあります。

この中でふたばに関係のあるケアは
・在宅経管栄養法
・侵襲的在宅人工呼吸療法(のうちの気管切開)
です。

在宅経管栄養法のページでは、
経管栄養剤の種類や特徴、
注入姿勢の工夫などが書かれていて、とても役に立ちました。

一般的なケア方法が詳しく書かれていますが
当然ながらその子によってやりやすい方法が違うし、
支給される物品にも限りがあります。
医師や看護師からの指導を受け、
この本を参考にしながら、ふたばに合うケア方法を見つけていっているという感じです。


この本を読むと、
何気なくやっているケアにもちゃんと理由があることに気づくこともあります。


また、ふたばは気管切開をする前は、「DPAP」という、
鼻から呼吸を助ける機械を使っていたのですが
その頃は常にSpO2(動脈中に含まれる酸素の飽和度)を
パルスオキシメーターで計っていました。
その値(サチュレーション)は、95~98%であることが望ましいとされているのですが
ついつい、100%になると嬉しくなっていました。
(ふたばのゴキゲン指数・ヨロコビ指数に感じてしまうんですよね(^^;))
でも、サチュレーションが常時100%を示している場合
「高酸素血症」の疑いもあるのだと
この本を読んで知って、びっくりしたものでした。
(その場合は、酸素を投与する際、SpO2を98%以下に調節する必要があるのだそうです)



第3章は在宅生活でのさまざまな支援や、社会資源(医療や福祉に関する色々なサービス)
についてまとめられています。

各種手当や手帳のことなどについて、概要がわかりやすく書かれています。
(地域差があるので詳細は市町村の窓口に確認する必要がありそうです)


マニュアル、というタイトル通り、
在宅で医療ケアが必要な子がいる家庭にとって
あると安心できそうな一冊です(^^)


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『発達に遅れのある子の親になる』

すっかりご無沙汰な(笑)この『本棚』カテゴリー。

今回は、ずいぶん前に読んだものの中で、最近再読したこの本を紹介します。

『発達に遅れのある子の親になる』
海津 敦子 著
日本評論社

発達に遅れのある子の親になる


タイトルからして、発達障害を持つ親向けの本なのですが
これを読んだのはふたばが生まれて数ヶ月の頃でした。
まだどんな障害があるかもわからず
そもそも「障害児」という認識もあまりないまま
毎日NICUに面会に行っていた頃に読んだ本。
今となっては、このタイトルを見て読もうとは思わなかったかもしれません。
その頃に出逢えて良かったな~と思います。


この本の特徴は、インタビューで聞いた親の声、専門家の声がとても多いということです。
それらを1つ1つ、著者の海津さんが、美しい言葉でまとめておられます。


第一章は、わが子の発達の遅れに気づいたり、専門家に指摘されたりしたとき、
どんな親でもはじめは受け入れ難く、苦しむものだ、というところから始まります。
(この苦しみはきっと、身体的な障害や知的な障害の場合も同じようなものではないかと思います)
その受け入れにくさや苦しみは、一体どうして生まれるのか。

インタビューされた中の1人、愛育養護学校の岩崎さんが
その理由をうまく語っておられます。

「人間って、自分がもっている価値観や、理想からはずれちゃうとすぐ駄目に思ってしまう。
でもこれも、教育によってなされるものが大きいんじゃないかしら。
特に日本の場合は、勉強ができる人がやっぱりいいみたいな教育がされてきたから
遅れがあると聞くと、もう駄目とか困ったとか思ってしまう」

そして発達の遅れがある子に対して抱く不幸感を
「人間の弱さや、愚かさの表れでもある」とも述べています。



また、3歳のときに脳症を発症し重度脳障害が残った長男を持つ東海林さんは

「障害児の親になるということは、わが子に向けられる偏見や差別を
自分の中にはないのか自問自答していくことでもあります」

といっています。
そんな東海林さん、障害児の親同士の会話を通して
子どもに対するさまざまな思いが、自分ひとりではなかったことに心底ほっとしたり、
話すことで、自分の中の無意識な部分を知って気づくことも多くあったそうです。



障害の種類、程度に関わらず、
はじめはこんな風にみんな苦しんだり、自分の中の葛藤に苦しんだりするようです。
もちろん私もその1人で、うんうん、と頷きながら読みました。

著者の海津さんは、

「発達の遅れをもつ子の親は、子どもと向き合うために、
それまで信じてきた価値観を変更せざるをえず、
それと同時に「今」の限界を理解しつつ、
新たな価値観の立て直しをも迫られることになります」

と述べます。

障害を持つ子を育てる中で変化した価値観。
私にも、自覚があります。

ひとみだけを見ていると、
社会で取り残されないように生きていけるために、
あれもこれも、頑張った方がいいんじゃないかと、思うことがあります。
人の迷惑にならないようにしないと、自分でなんでもできるようにしないと、
みんなに遅れずについていけるようにしないと…って。
でもふと、横にいるふたばを見ると、
ま、生きてるだけで丸儲けやなぁ~。のんびりいきまひょ。みたいな
のん気な気持ちにもなるのですよね。
もちろん、障害なんてないに越したことはなく、
「ふたばに障害があって良かった」なんて思ったことは一度もありません。
でも、あったらあったで、楽しいことだっていっぱいあるんですよね。
障害がなかったら、見えなかったもの、知らなかったこと、出逢えなかった人。
たくさんたくさん思いつきます。

それ以外にも、たとえば、
病気や障害を持つ人や子どもがどんな風に頑張って生きているのかを知ろうとしたり
重い障害を持つ人や子どもが、今どう感じているのかを見るようになったことだって
ふたばに出逢うまでは、考えもしなかったことだったから
それも価値観の変化と呼ぶことができるかなぁとも思います。


障害を持つ子の親や専門家とたくさん接してきた海津さんはこう語っています。

「20年、30年と障害児を育ててきた親たちは
とても穏やかな気持ちで『もう怖いものは何もない』と口にすることがあります。
どんな出来事も以前のように落ちこむことがなくなってきたのです。
それは長い間に、強く、したたかになったり、感覚が鈍くなってしまったからではけっしてありません。
発達の遅れをもつ子どもを抱えるという、思い通りにいかない人生に落ちこみ、
迷い、苦しみながらも、チャンスとして生かし、
価値観の転換をはかってきたからです。
どんな状況でも常に希望を見出す術を知った自信から湧き出た言葉といえます」

実際、前述の東海林さんの言葉の中にも

「障害のある子とともに歩む中で、
障害とは何かと問い続けているうちに、
いつのまにか今まで社会が作り出してきたつまらない先入観から抜け出すことができるんです。
そして、世間の目や人の目を気にしない新しい価値観をもって生まれ変わったように、
親として人として大きく成長していることに気がつくのです」

とありました。



ふたばの親になって、まだ3年ちょっと。
苦しむこと、たくさんあります。
でもその経験だってきっと無駄じゃない。
価値観が変わる時には、痛みをともなうこともある。
でもそれを繰り返し、毎日元気に過ごしていれば
この東海林さんのように、変わった自分、生きやすくなった自分に
気づく日が来るかもしれないな。
そうでありたいな。



親の気持ちや価値観の話だけではなく、
療育のこと、周囲とのつきあいのこと、兄弟姉妹の心のこと、
夫婦の役割、子どもの世界の広げ方など、
多岐にわたって、発達に遅れのある子の親が知りたいことが詰まっています。

著者の海津さんも、障害を持つ娘さんがいらっしゃいます。
この本が出版された当初はフリージャーナリストでしたが
現在は文京区の議会議員をされているようです。



大事なことは、子どもをありのままを受け止めること。
それができるようになるまでのプロセスが、丁寧に描かれた1冊です。


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